ただ、はっきりいって、こうしたことをあっさりと認めてくれる建築家は、意外に少ない。変なプライドを持っているからだ。料理を作る主婦の作業場という感覚でキッチンを捉えずに、全体のバランスでいかに見栄え良く、美しくあるかということを問題にする人が多いからだ。その点、Tさんは、一見細かそうに見えるのだけれど、「まあ、いいじゃないですか。結果がよくって、住む人が満足できれば」という、鷹揚な考え方の人。たぶん、育ちがいいのだろう。
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もちろん、「自分で設計する」と言っても、定規で均一な線を引けない私のような素人には、建築図面を描き起こすことはできない。「自分で設計する」というのは、こういうキッチンにするという基本を自分で考えるということだ。図面は描けなくても、自分流の図やイラストに、モノの配置や寸法を書き込んで、こうして欲しいということを伝えられればいいのだ。要は、どういうイメージの、どういう使い勝手の、どんな収納のついた、どういうサイズのキッチンにしたいのか、それを、自分で決めることが大切なのだ。そして、それを設計者に伝えて、図面という建築用語に翻訳してもらえば、それで自分が納得できるキッチンができあがる。
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