驚くことに、三年にわたる調査の結果、グリーンランドに住むイヌイットの脂肪摂取量は、総摂取カロリーの三五〜四〇%にものぼっており、獣肉食中心のデンマーク人と同じくらいの高脂肪食であることがわかりました。しかもその脂肪の内容は「魚介類や海獣の脂肪」と「獣肉の脂肪」の違いはあるにせよ、デンマーク人と同じ動物性脂肪なのです。さらにイヌイットは、そうした高脂肪の食生活を続けているにも関わらず、血液中の総コレステロールや中性脂肪の値は正常に保たれていたのです。そこで博士らは、イヌイットとデンマーク人の血中成分を分析して、それぞれ比較してみることにしました。イヌイットの血中には、DHA・EPAがかなり多く含まれており、逆に「n16」(とくにアラキドン酸)という成分がかなり少なくなっていたのです。ともかく、この調査結果によって、血栓性疾患に対する魚の脂肪の効用が注目されるようになりました。そして同じ動物性油でも、獣肉の脂肪と魚・海獣の脂肪では性質が大きく異なり、ひとまとめにして論じることが疑問視されるようになったのです。
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